Lifelet*

日々のこだわりとシェアハウスと、らいふれっと。

折りたたみ自転車 "Brompton(ブロンプトン)" の魅力、についての話。

昨年8月に Brompton(ブロンプトン) という折りたたみ自転車を買った。それまでは ESCAPE R3 という王道クロスバイクに乗り続けていた。まだ大学生だった時に買ったものなので、もうずいぶんと長い相棒だ。子供の時から自転車は大好きだったが、それまで乗っていたのはママチャリか、せいぜい近所のホームセンターで買えるMTBまがいの代物。ESCAPE を買って最初にペダルを漕ぎだした瞬間の、背中に羽が生えたようなあの気持ちを今でも覚えている。

しかし社会人になり、趣味としてそろそろ次のステップに進んでもいい気がしていた。順当に考えたらドロップハンドル・ロードバイクに乗るところだが、自分はあえて違う方向に進んだ。それが折りたたみ自転車であり、Bromptonであった。

「折りたたみ自転車」という選択

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僕は旅が好きだ。知っている道を走るより、知らない道を走りたい。もし旅先でも自分の自転車に乗れたらどんなにワクワクするだろう。

自転車を電車に載せて運ぶことを「輪行」と言う。規定では自転車は「輪行袋」という車体全体を覆うカバーをかけないと載せることが出来ない。普通の自転車はそのままカバーを被せるには車長が大きすぎるため、基本的には全後輪を外す必要がある。訳あって ESCAPE を一度だけ輪行したことがあるが、パンク修理以外でめったに車輪を外さないため、とにかく手間取った。手間取ったあげく買ったばかりの輪行袋がすぐ破れた。とてもじゃないけど、いちいちこれはやってられないなと思った。

パーフェクト輪行マニュアル|サイクリングの楽しみ方を発信する、ワールドサイクルブログ

折りたたみ自転車ならそういう手間が軽減される。自転車の車種にもよるが、それがBromptonなら15秒もあれば一番小さい形まで折りたたむことが出来る。そこから輪行、つまり電車に載せるためにカバーを被せたりベルクロを通したりしてもせいぜい1分だ。これで輪行のハードルはグッと下がる。遠くまで行ける。

輪行を選択肢に入れると、基本的には行きか帰りのどちらかを走ればいいため、旅にかかる苦労は半分になる。同じ苦労をするなら、その分で行ける距離が2倍になるということ。もちろん行きと帰りを輪行して、旅先での足に自転車を使うことも可能だ。しかももし途中トラブルがあって、これ以上走れなくなったとしても、折りたたみ自転車ならすぐにたたんで電車やバス、タクシーに乗るのも簡単だ。

このへんは ひとりぶろぐ さんの解説がとても分かりやすい。

イギリスの折りたたみ自転車BROMPTON購入を決断した2本の動画

「折りたたみ自転車の最高傑作」

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Bromptonの魅力は、その「完璧」とも言える折りたたみギミックである。もっとも折りたたんだ状態は、16インチのタイヤを一回り大きくした程度。横から見た時の密度の高さは芸術的ですらある。

f:id:Mayu_mic:20140915122041j:plain 小さいのでカフェにも連れていける。(大阪の BROOKLYN ROASTING COMPANY KITAHAMA にて)

また前輪を内側にたたむ時、外側に出すときの「ガシャン」という音の心地よさがたまらない。大きなアクションも伴って路行く人にかなり注目を浴びる。

それでいて、走行性能はロードバイクまでとは言わないものの、並以上のものを確保している。一見いかにも走りにくそうな小径だが、長いホイールベースとアップライトな姿勢、それとサスペンションのおかげで不思議と疲れにくい。小径と内装式のギアが都心の信号待ちでのストップアンドゴーに非常に相性が良く、無理に漕がない限り100km超のロングライドも悠々こなせてしまう。輪行出来るという安心感も相まって「もっと遠くまで!」と体を運んでしまうのだ。

「フロントキャリアブロック」という唯一無二のシステム

さらにBromptonの特徴として「フロントキャリアブロック」というシステムがある。キャリアブロックに専用のバッグをジョイントし、荷物を積んで走ったり、バッグごと外して持ち歩くことが出来るものだ。専用バッグはカメラバッグからカジュアルバッグ、ツーリング用の30Lも入る大きなバッグなどさまざまで、社外品もある。

フロントキャリアブロックは一般的なママチャリのカゴとは違って支柱部に固定されている。そのためハンドルを回転させてもバッグは正面に固定される。イメージは掴みにくいと思うが、これによって10kgを超えるような荷物を運んでいても荷物の重さでハンドルが取られることはなく、また重い荷物を背負わなくてはいけないストレスからも解放されて、飛躍的に旅が楽になる。

さらになんと、Bromptonは荷物を積んだ状態のまま折りたたむことが出来るように作られている。フロントキャリアブロックにバッグをジョイントしたまま、バックキャリアについているローラーで自転車全体を転がして移動できるのだ。専用バッグのフレームにはあらかじめ転がして使うための「とって」があり、特に駅や空港の構内などで重い荷物を持たなくても、スーツケースのように運ぶことが出来る。本当によく考えられた設計だと関心する。

このようにBromptonはコンパクトに折りたためる小径車ながら高い運搬力を持つ、まさしく実用車でありながら、使い方によってスタイルが何種類にも変化する「合体変形ロボット」のようなロマンも持つ。なんとも理系ゴコロをくすぐるのだ。

Bromptonを連れて「旅」に出よう

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本体価格だけで17万円、バッグやキャリアや鍵などを付けてざっと25万円という価格は、決して安くはない。しかし、輪行のハードルを1段下げるそのコンパクトさと、それに見合わない運搬力は、間違いなくライフスタイルを変えるほどのインパクトがある。思い立ったら「ローロ」や「しぶや」や「和田サイクル」に行ってみて欲しい。今はブロンプトンと過ごす毎日が楽しくて仕方ない。

シェアハウス「浅草橋ブレッドボード」を始めるまでの話。

2014年の7月にシェアハウス「浅草橋ブレッドボード」をゼロから立ち上げた。

みんなでつかえるソーシャル実験系シェアハウス『浅草橋ブレッドボード』 - Colish でコンセプトのあるシェアハウス生活はじめよう

広いリビングルームやイベントスペースを利用して、住人やそこを訪れる人が「創作・実験・思考」するための場として使って欲しいという願いを込めて『ブレッドボード』と名付けた。基本的には勉強会だったり、あとは日本酒の品評会だったり、何かやりたい人向けにリビングルームを安価で貸している。といっても堅苦しいことなしに、遊びに来てくれたりしてくれるとすごく嬉しいです。

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それまでもシェアハウスをやろうという計画は幾度かあったんだけど、物件の都合など色々あって無くなっていて、ちゃんと始められたのは今回が初めてだった。

シェアハウスというライフスタイルは浸透したようで、まだまだ浸透していないように思う。僕の周りは良いところの企業に勤めていたり、公務員、官僚さんなどのエライ人が多く、あえてシェアハウスに住んで家賃を浮かそうなんて考える人はいない。やはりシェアハウスに住む人というのは、収入や雇用の安定度によるバイアスがあるのかもしれない。しかし、そういうこと抜きにしても、僕はシェアハウスを初めて毎日幸せに過ごせているし、心から初めて良かったと思っている。

今日は、シェアハウスを始めるまでの経緯について書く。

物件探しを始めるまで

id:showgo とは一昨年の12月くらいに出会った。共通の知り合いのお姉さんがいて、その人と会っていた時にふらっと、当時僕が住んでいた秋葉原の家に来た。id:showgo秋葉原近くに住んでいたので、一緒に新年に初詣に行ったり、お互い暇な時に飯を食べる仲になった。

しばらくして id:showgo が、僕の住むマンションの単身者向けでない2LDKの部屋が空いているので、そこに友達を呼んで3人くらいで住もうという話を持ちかけてきた。当時僕が住んでいたマンションは、アキバの中央通りから徒歩30秒という業の深い場所で、それはもう面白事象がガンガン起こるんだけど、やはりというか家賃が高くて、月々の大きな負担になっていた。もし今と同じ利便性で負担が減らせるなら願ったりだった。

しかし、2人で不動産屋に行った時には、既にその物件は押さえられていた。というかその物件はそもそもルームシェアすることについて許可が降りなかった。近隣の他の物件も提案されたけど、どれも家賃的にハードルが高かったりして断った。

普通ならそこで諦めるのかもしれないけど、そうしなかった。その時僕は一人暮らしというライフスタイルにそろそろ「飽き」始めていた。大学・大学院と実家にいて、一人暮らしはずっと憧れだった。それでも1年も経たないうちにすぐ飽きた。毎日家事をしなければならない負担もあるが、なにより自分だけのテレビやら冷蔵庫やら洗濯機やら、そもそも自分だけの空間を所有していることに虚しさを感じ始めていた。もしかしてもの凄く無駄なコストを支払っているんじゃないかとも思えた。

所有をしなければどんどん身軽になれるし、身軽になったほうが人生は自由だ。

【生活に最低限必要な10の荷物】所有物を減らすと圧倒的に身軽になる。ー 選択肢を増やすことが自由ならば、選択肢を減らすことも自由なのだ。 - いばや通信

機を同じくして、id:showgo の住む物件が家主の都合で出なくてはいけなくなっていた。自然というより必然と、他の場所でシェアハウスをやる方向になった。

物件探しと決定

最初の条件は、2人が住んでいた秋葉原にすぐ行ける場所というのがあった。なんとなく秋葉原に愛着があったし、あまり生活空間を変えたくなかったのがあったのだろう。

探し方は賃貸情報サイトを開いて『秋葉原に近い区』で『家賃30万円以内』『シェアOK』の物件を、『専有面積の広い順』に並べて、良さそうな物件に片っ端からアタックするという単純なものだ。単純だがやってみると結構面白い。

例えばこんな条件で探すと専有面積200平米超だったり9SLDKの間取りだったりオモシロ物件がぞろぞろ出てくる。

http://suumo.jp/jj/chintai/ichiran/FR301FC001/?ar=030&bs=040&ta=13&sc=13101&sc=13102&sc=13105&sc=13106&sc=13107&sc=13108&cb=0.0&ct=30.0&mb=0&mt=9999999&et=9999999&cn=9999999&tc=0401105&shkr1=03&shkr2=03&shkr3=03&shkr4=03&sngz=&po1=11&po2=99

この中から家賃・利便性的に良さそうな物件を見繕い、連絡して内見に行ってみる。いかんせん突飛な条件で探しているので、高級住宅街のど真ん中にあるボロ家とか、ラブホテルの裏とか、とにかくオモシロ物件が多かった。この辺、十把一絡げの一人暮らし用物件に比べて幅があって、内見に行くだけでなんとなくワクワクしてくる。

これまでの条件とは異なるが「豊洲あたりの高級マンションにみんなで住んだら面白いんじゃないか」という案も浮かんだので、Facebookで興味ある人に呼びかけて、実際に見に行った。どこも実に綺麗なマンションで、40階くらいの展望スペースやら、棟内に自由に使えるジムやら、ネタとしては面白いと思ったけど、立地的に人が集まらないと思い継続性を考えてやめた。やっぱり人が集まる場所じゃないと面白くないなという思いはその時からあった。

そんなこんなで2ヶ月くらい楽しく探していたけど、なかなか「ピン」とくる物件が見つからなかった。そこで、検索条件を見直してみることにした。そもそも、家賃30万の部屋は誰が住むのだろう。例えば六本木や広尾、白金など、ブランド価値が高い場所ならお金持ちが住むのかもしれない。しかし浅草橋や両国あたり、一般的なブランド価値とは程遠い場所に「広くて、高い」物件を余らせておく理由があるんだろうか。そういう場所こそシェアハウス向きだと思うが、所有者が果たしてその価値を理解し、正しくシェアハウスを始めたい人にアピールしているだろうか。

要は検索条件に『ルームシェアOK』を付けていたから、そもそもそういう情報を登録していない物件というのは検索結果に表示されない。その条件を外して検索したら、一気に検索結果が倍くらいになった。その中に、浅草橋駅徒歩1分、専有面積170平米という凄まじい物件が空いているのを見つけた。見た瞬間に「ここでシェアハウスを始めないと今後の人生にとって損だ」と確信した。

上記の条件から『ルームシェアOK』の条件を外してみる。

http://suumo.jp/jj/chintai/ichiran/FR301FC001/?ar=030&bs=040&ta=13&sc=13101&sc=13102&sc=13105&sc=13106&sc=13107&sc=13108&cb=0.0&ct=30.0&mb=0&mt=9999999&et=9999999&cn=9999999&shkr1=03&shkr2=03&shkr3=03&shkr4=03&sngz=&po1=11&po2=99

僕の直感はだいたい外れが無い。すぐに連絡を取って「シェアで住む」という連絡を取ってみたら、なんとあっさりOKしてくれた。不動産屋はいかにも地元密着型な感じで、インターネットには疎そうな感じがした。僕の目論見は当たっていたのだ。

その後、内見などを重ね、その間に初期住人を呼び、4人でスタートすることが出来た。

ほぼ半年

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今から考えるとそう大したことでは無いんだけど、そこから入居の手続きやインフラの各種手続きなどをほぼ一人でやっていて、事務的なことが苦手な僕は立ち上げてしばらくはイライラすることが多かった。しかし、それが落ち着いてからは、遊びに来てくれる人も増え、イベントが開催される頻度も増えて、本当に楽しい毎日を過ごせている。とにもかくにも立地と、何よりいてくれる人のおかげであると思う。

もし興味がある方は Facebook浅草橋ブレッドボード」から連絡して頂いて、いつでも内見に来て頂いて構いません。現在住人を大募集していますので、ぜひ。

正月に地元に帰った話。

正月なんで地元に帰っている。特にやることが無かったから喫茶店でも行こうと思って、江田駅北口の「アシュレ」に行ったけど案の定開いてなかった。向かいのコメダ珈琲はひっきりなしに車が入っていたが、とても休める雰囲気じゃ無かったのでゆっくり出来るところを求めて付近を散歩した。

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あざみ野でゲーセンというとあざみ野駅にも広告を打っていたパラダイス(2012年閉店)が有名だが、実はもう一つゲーセンがあったことを知っている人は少ないと思う。写真3枚めあたりの地下にあった。いつ無くなったか分からないが少なくとも10年前には既に無くなっていたと思う。ダイオーも服屋もゲームショップもみんな無くなって予備校か医者かコンビニになった。怪しい店はあざみ野から無くなった。

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あざみ野の怪しい店といえばあの車田正美先生直営の同人誌屋"SEIYA CLUB"があったが、それもセンター北に移って、すぐに無くなった。軽く15年くらい前で、ネット以前の時代だから仕方が無いのかもしれないが、市営地下鉄あざみ野駅のエスカレーターに広告を打つくらい有名な店だったはずなのに、今調べてもほとんど情報が無いのに驚く。今から考えても何であんな場所に作ったのかさっぱり分からない。とにかくこの街でサブカルは根付かない。

例えどんなに愛してようが無くなるものは無くなるわけで、それは人の命も風景も同じ。だからこそ存在するうちにちゃんと構ってあげないといけないと思う。今度帰ってきた時にアシュレには行く。それまでは残っていることを切に願う。