シェアハウス「浅草橋ブレッドボード」を始めるまでの話。
2014年の7月にシェアハウス「浅草橋ブレッドボード」をゼロから立ち上げた。
みんなでつかえるソーシャル実験系シェアハウス『浅草橋ブレッドボード』 - Colish でコンセプトのあるシェアハウス生活はじめよう
広いリビングルームやイベントスペースを利用して、住人やそこを訪れる人が「創作・実験・思考」するための場として使って欲しいという願いを込めて『ブレッドボード』と名付けた。基本的には勉強会だったり、あとは日本酒の品評会だったり、何かやりたい人向けにリビングルームを安価で貸している。といっても堅苦しいことなしに、遊びに来てくれたりしてくれるとすごく嬉しいです。
それまでもシェアハウスをやろうという計画は幾度かあったんだけど、物件の都合など色々あって無くなっていて、ちゃんと始められたのは今回が初めてだった。
シェアハウスというライフスタイルは浸透したようで、まだまだ浸透していないように思う。僕の周りは良いところの企業に勤めていたり、公務員、官僚さんなどのエライ人が多く、あえてシェアハウスに住んで家賃を浮かそうなんて考える人はいない。やはりシェアハウスに住む人というのは、収入や雇用の安定度によるバイアスがあるのかもしれない。しかし、そういうこと抜きにしても、僕はシェアハウスを初めて毎日幸せに過ごせているし、心から初めて良かったと思っている。
今日は、シェアハウスを始めるまでの経緯について書く。
物件探しを始めるまで
id:showgo とは一昨年の12月くらいに出会った。共通の知り合いのお姉さんがいて、その人と会っていた時にふらっと、当時僕が住んでいた秋葉原の家に来た。id:showgo も秋葉原近くに住んでいたので、一緒に新年に初詣に行ったり、お互い暇な時に飯を食べる仲になった。
しばらくして id:showgo が、僕の住むマンションの単身者向けでない2LDKの部屋が空いているので、そこに友達を呼んで3人くらいで住もうという話を持ちかけてきた。当時僕が住んでいたマンションは、アキバの中央通りから徒歩30秒という業の深い場所で、それはもう面白事象がガンガン起こるんだけど、やはりというか家賃が高くて、月々の大きな負担になっていた。もし今と同じ利便性で負担が減らせるなら願ったりだった。
しかし、2人で不動産屋に行った時には、既にその物件は押さえられていた。というかその物件はそもそもルームシェアすることについて許可が降りなかった。近隣の他の物件も提案されたけど、どれも家賃的にハードルが高かったりして断った。
普通ならそこで諦めるのかもしれないけど、そうしなかった。その時僕は一人暮らしというライフスタイルにそろそろ「飽き」始めていた。大学・大学院と実家にいて、一人暮らしはずっと憧れだった。それでも1年も経たないうちにすぐ飽きた。毎日家事をしなければならない負担もあるが、なにより自分だけのテレビやら冷蔵庫やら洗濯機やら、そもそも自分だけの空間を所有していることに虚しさを感じ始めていた。もしかしてもの凄く無駄なコストを支払っているんじゃないかとも思えた。
所有をしなければどんどん身軽になれるし、身軽になったほうが人生は自由だ。
【生活に最低限必要な10の荷物】所有物を減らすと圧倒的に身軽になる。ー 選択肢を増やすことが自由ならば、選択肢を減らすことも自由なのだ。 - いばや通信
機を同じくして、id:showgo の住む物件が家主の都合で出なくてはいけなくなっていた。自然というより必然と、他の場所でシェアハウスをやる方向になった。
物件探しと決定
最初の条件は、2人が住んでいた秋葉原にすぐ行ける場所というのがあった。なんとなく秋葉原に愛着があったし、あまり生活空間を変えたくなかったのがあったのだろう。
探し方は賃貸情報サイトを開いて『秋葉原に近い区』で『家賃30万円以内』『シェアOK』の物件を、『専有面積の広い順』に並べて、良さそうな物件に片っ端からアタックするという単純なものだ。単純だがやってみると結構面白い。
例えばこんな条件で探すと専有面積200平米超だったり9SLDKの間取りだったりオモシロ物件がぞろぞろ出てくる。
この中から家賃・利便性的に良さそうな物件を見繕い、連絡して内見に行ってみる。いかんせん突飛な条件で探しているので、高級住宅街のど真ん中にあるボロ家とか、ラブホテルの裏とか、とにかくオモシロ物件が多かった。この辺、十把一絡げの一人暮らし用物件に比べて幅があって、内見に行くだけでなんとなくワクワクしてくる。
これまでの条件とは異なるが「豊洲あたりの高級マンションにみんなで住んだら面白いんじゃないか」という案も浮かんだので、Facebookで興味ある人に呼びかけて、実際に見に行った。どこも実に綺麗なマンションで、40階くらいの展望スペースやら、棟内に自由に使えるジムやら、ネタとしては面白いと思ったけど、立地的に人が集まらないと思い継続性を考えてやめた。やっぱり人が集まる場所じゃないと面白くないなという思いはその時からあった。
そんなこんなで2ヶ月くらい楽しく探していたけど、なかなか「ピン」とくる物件が見つからなかった。そこで、検索条件を見直してみることにした。そもそも、家賃30万の部屋は誰が住むのだろう。例えば六本木や広尾、白金など、ブランド価値が高い場所ならお金持ちが住むのかもしれない。しかし浅草橋や両国あたり、一般的なブランド価値とは程遠い場所に「広くて、高い」物件を余らせておく理由があるんだろうか。そういう場所こそシェアハウス向きだと思うが、所有者が果たしてその価値を理解し、正しくシェアハウスを始めたい人にアピールしているだろうか。
要は検索条件に『ルームシェアOK』を付けていたから、そもそもそういう情報を登録していない物件というのは検索結果に表示されない。その条件を外して検索したら、一気に検索結果が倍くらいになった。その中に、浅草橋駅徒歩1分、専有面積170平米という凄まじい物件が空いているのを見つけた。見た瞬間に「ここでシェアハウスを始めないと今後の人生にとって損だ」と確信した。
上記の条件から『ルームシェアOK』の条件を外してみる。
僕の直感はだいたい外れが無い。すぐに連絡を取って「シェアで住む」という連絡を取ってみたら、なんとあっさりOKしてくれた。不動産屋はいかにも地元密着型な感じで、インターネットには疎そうな感じがした。僕の目論見は当たっていたのだ。
その後、内見などを重ね、その間に初期住人を呼び、4人でスタートすることが出来た。
ほぼ半年
今から考えるとそう大したことでは無いんだけど、そこから入居の手続きやインフラの各種手続きなどをほぼ一人でやっていて、事務的なことが苦手な僕は立ち上げてしばらくはイライラすることが多かった。しかし、それが落ち着いてからは、遊びに来てくれる人も増え、イベントが開催される頻度も増えて、本当に楽しい毎日を過ごせている。とにもかくにも立地と、何よりいてくれる人のおかげであると思う。
もし興味がある方は Facebook「浅草橋ブレッドボード」から連絡して頂いて、いつでも内見に来て頂いて構いません。現在住人を大募集していますので、ぜひ。